2011年6月22日水曜日

カゴ作りの先生、何回かの通り雨

















2011621

 午前10時の約束は昨日きまったもの。夕方のいい雰囲気のなかで、ゴザ編みに併行してカゴづくりをしていたスタッフの悪戦苦闘ぶりが近くのおばあちゃんを呼び寄せた。というかおばあちゃんが見てられなくなった。前にカゴを作ったあのおばあちゃんだ。カゴ作りが予想以上に難しい、よければ明日教えてくれません?というスタッフの話と、まわりに集まる人がカゴ作りというあたらしい展開をおもしろがって待ち合わせ時間まで決めてしまう勢いがあっての約束だった。

 

暑さが溜まるようで熱中症になりやすそうな陽気だ。おばあちゃんがくるということ、それから集会所内でどのように活動が可能か試すという意味でも、午前中は室内で行うことにした。

「良い風が通るわね。」ゆるやかな会話とカゴをつくる時間が心地いい。

しかし京都から来たYWCAの2人も面白い。飽きっぽいのか無理とあきらめたのかわからないが、カゴ編みがちっとも進まない。先生、先生、といいながら結局おばあちゃんにほとんどやってもらっている。やけに真剣につくっていた私からすれば、もうちょっと自分でやれば?という感じもほんの少しあったが、お二人が頼るからこそカゴ作りの先生はこの日しょっちゅうきてくれることになったのだろう。昼をすぎるとすこし日陰が涼しくなってきたので、外で作業をする。冷たいお茶を飲みながら編む作業をつづけていた。

ふと、毎日会うおじいちゃんに、手招きされる。なんだろうと思ったら、ちいさい声で「一雨くっぞ、片付けた方がいい。」とアドバイス。確かに雲が厚くなっている。みんなで室内に移動するため道具を運ぶ。この人のこんな一言や、だれかが家の前の掃除をする所作などから、仮設住宅の無機質な外観にまけずと滲み出てくる地域の生活感に接することができる。

予告通り突然の大雨だ。室内に移動するタイミングは完璧だった。道具やゴザは片付けられて大丈夫だが、晴れ間の大雨を眺めていると、いくつかある出しっ放しの洗濯物が気になってしょうがない。スタッフで分担して、取り込むことになった。雨にぬれない方が良いに違いないということで決めた。

夕方になって子どもたちが学校からかえってくる。昨日までは私が宿題をみたりしていたのだが、今日はみんな家にかえって宿題を終わらせてからやってきたので偉い。カゴづくりの師匠が、今度は子どもたちに鍋敷きの作り方をレクチャーしている。コーヒーを淹れる技術もみな上がり、ずいぶん効率も良くなってきた

私は大きめの板に模造紙を張り、「マイタウンマーケットお店計画」というタイトルを書き始めた。みんなやろうとすることは何となく知っていたので、飲み込みが早い。喫茶店、映画館、魚屋、八百屋、おもちゃ屋、役場、小学校、中学校、動物園、博物館、公園、交番….。模造紙いっぱいに列挙する。勝手に多数決がはじまって、自分たちがやりたいもの考えていた。

どうなっていくのか、まだまだわからない。彼らをきっかけにいろんな人と協力してつくっていければいい。

数日前に自治会長と副会長と、夜遅くまで話合ったときを思い出した。

 「みんなが参画するようにやっていくにはどうしたらいいだろうね。最初は北澤君が7割、他が3割ではじまってもいいよな。」「いや最初から2割と8割でもいいんですけどね。」「まずやってみることだな。」「みんな初めてだからどうやってけばいいか手探りなんだよ。」

みんなでやっていくにはどうするかということを、私もお二人も考えている。そしてそれを自然に一緒に考えている状況が、まずここにあるのが重要だ。

 またザァーと降ってきた雨。今日何度か降っているが一番強い雨だ。これはまずいということで、片付けを中断し子どもたちを帰すことにした。傘を持ってこなかった少年、すぐそこが家なわけだが雨に濡らすわけにはいかない。そこで考えた。いつもカフェ用につかっている大きなパラソルを差して、2人で面白がりながらちっとも雨にあたらず歩いた。小さく、この雨を克服した気分になった。

北澤潤

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